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コマースメディアとは何か、リテールメディアとどう違うのか

世界のリテールメディア広告費は2025年に推計1,749億ドルに達し、2026年には12.4%増の1,967億ドルへ拡大する見通しで、米国のリテールメディアだけでも2025年の587.9億ドルから693.3億ドルへ伸びると予測されている。だがこの数字は、いま起きている本当の変化を過小評価している。その広告費のうち、しかも最も成長率が高い部分は、すでにリテーラーの外側で動き始めているのだ。

コマースメディアとは、リテーラーに限らず、顧客とのコマース上の関係を持つあらゆる事業者が保有するファーストパーティの取引データをもとに成り立つ広告のことだ。リテールメディアは、その事業者がリテーラーであり、自社のサイトやアプリ、店内スクリーンで広告を販売する特定のケースを指す。一方コマースメディアは同じロジックを旅行、配送、金融プラットフォームにまで広げ、そのデータを自社の媒体だけでなく、オープンウェブやコネクテッドTV、ソーシャルへも展開していく。

リテールメディアはコマースメディアの一部であり、同義語ではない

両者は同じ意味で使われがちだが、その関係は一方向にしか成り立たない。すべてのリテールメディアネットワークはコマースメディアネットワークだが、コマースメディアネットワークの大半はそもそもリテーラーではない。リテーラーのメディアネットワークは、自社の売り場でショッパーデータを収益化する。コマースメディアネットワークは、広告主のオーディエンスが実際にいる場所であればどこでも取引データを収益化する。それは事業者自身が保有していない在庫であっても変わらない。

最も成長しているのはリテール業界の外側だ

リテーラー以外の事業者も、同じファーストパーティのロジックの上に広告事業を築きつつある。マリオット、エクスペディア、ウーバー、トレインライン、トリップアドバイザーはいずれも、旅行領域のメディアネットワークを立ち上げるか拡大している。これは、他の手段ではリーチできない宿泊客や乗客のデータを活用したものだ。配送・決済の領域でも、インスタカートは2025年に米国だけで10億ドルを超える広告収益を上げ、ペイパル、クラーナ、チェイス、レボリュートは今やCPG、旅行、リテールの広告主向けに、加盟店を横断した取引データを収益化している。これらはいずれもリテーラーではなく、この広告費はリテールメディアの予算項目には計上されない。

この区別がメディアプランの組み方を変える理由

コマースメディアを一つのチャネルとして扱うことが、最もよくあるプランニング上の誤りだ。リテールか否かにかかわらず、各ネットワークはそれぞれ独自のオークション、独自のターゲティング分類、独自の測定基準で運用されており、ほとんどが互いにデータを共有していない。あるリテーラーのネットワーク向けに組んだプランは、旅行系やフィンテック系のネットワークにはほとんど通用せず、複数のネットワークをまたいで成果を突き合わせようとすると、断片化したメディア環境なら必ず直面する測定の課題に行き当たる。コマースメディアは単一の予算項目として一括購入するのではなく、ネットワークごとに個別に計画し、測定する必要がある。

Criterion Globalのコマースメディアへのアプローチ

単一のコマースメディアネットワークがどれほど大規模かつ特殊になり得るかを示す最も分かりやすい例がAmazonだ。Criterion GlobalがAmazonのラグジュアリーリテール参入に向けた予算設計を助言した際、その出発点は汎用的なリテールメディアの定石ではなく、世界最大の広告主であると同時に最大級のコマースメディア事業者でもあるというAmazon固有のスケールだった。Amazon自身のエコシステム内で出稿する際には独自の仕組みがあり、その詳細はAmazon Advertising Partner Networkに関する解説で取り上げている。新しいコマースメディアネットワーク全般に対しては、新しい市場やチャネルに参入する際と同じCriterion Global Budget Blueprint℠のロジックを適用する。実際の成果を見極めてから予算を積み増す、上限を定めたテスト配分だ。まずより馴染みのある層から着手したいブランドには、リテールメディアネットワークの実践を参照してほしい。